ジャングルの働き者とリドレイ
名前の由来:シンガポール植物園の偉大なる「ゴムの父」
凛々しいシダの「リドレイ ( Platycerium ridleyi Christ) 」という名前、
実は100年前の実在の植物学者への敬意からつけられましたの。
ヘンリー・ニコラス・リドリー(Henry Nicholas Ridley)氏 19世紀末から20世紀初頭にかけて、シンガポール植物園の初代園芸局長を務めたイギリスの偉大な植物学者です。彼はマレー半島のジャングルを這いずり回り、数々の新種を発見しました。
マレーシアを救った「ゴムの父」: 実は彼、自動車のタイヤなどに使われる「天然ゴム」の栽培方法を確立し、マレーシアに一大産業を築いた「ゴムの父」として歴史に名を残す超有名人なのです。
王様への献名: そんな彼がマレーの森で見つけた、あまりにも奇妙で美しい「鹿の角のようなシダ」に対し、植物学者仲間が「これはリドリー氏にちなんで『リドレイ』と名付けよう!」と発表したのが始まりです。
ジャングルの超能力:アリと暮らす「秘密のシェルター」
リドレイをじっくり見ると、根元を包む「貯水葉(ちょすいよう)」が、まるでキャベツのようにつぶつぶと脳みそみたいに波打っていますわよね。これには野生の凄まじい知恵が隠されています。
「アリ植物(マイメコフィト)」としての顔 野生のリドレイは、ジャングルの10メートル以上もの高木のてっぺん、太陽がギラギラ照りつける過酷な場所に生息しています。そこは水も栄養も届かない砂漠のような場所です。
迷路のような空洞(秘密基地): リドレイは、貯水葉をガチガチに固めて立体的な「ドーム(空洞)」を自ら作り出します。その中に、ジャングルのアリたちを住まわせるのです。
完璧な共生関係:
アリにとっては: 雨風を完全にしのげる、最高に安全な高級シェルター。
リドレイにとっては: アリたちが運んでくる食べ残しや排泄物が、極上の「栄養(肥料)」になり、さらに他の害虫が来たらアリが兵隊となって戦ってくれます。
あの彫刻のような美しいボコボコとした葉っぱの形は、実は「蟻たち、どうぞこちらへ!」と招き入れるための、愛の設計図だったのですね。
リドレイの「スプーン」の正体
1つ目のスプーン:根元の「貯水葉(ちょすいよう)」 根元を包む葉っぱは、まさに「スプーンの背(丸い凸面)」のようにボコボコと立体的に丸く盛り上がっています。これが何枚も重なり合って、先ほどお話ししたアリたちのための「ドーム型のマンション」を作り出しているのです。
2つ目のスプーン:鹿の角のような「胞子葉(ほうしよう)」 上に向かってツンツンと伸びるお馴染みの葉っぱも、実はよく見ると、先端の二股に分かれた部分が「小さなスプーン(ヘラ)」のような形をしています。ここに胞子(お花の種のようなもの)を大切に蓄えるのですわ。
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