黒い茄子 イギリスの菜園、フランスの菜園を想い出す
イギリスでは白茄子を親しみやすく
" Eggplant(卵の植物)"と呼びますけれど、
この艶やかな黒紫色の茄子はね、フランス由来の
どこか気品に満ちた響きで
" Aubergine(オーベルジーヌ)" とお呼びになりますの。
遥か古代インドからペルシャ、アラビアの商人たちへと、
シルクロードの長い旅の中でバトンのように
大切に繋がれて、フランスへと届いた
美しい言葉の旅路そのものなのですわ。
17世紀頃、初めてこの黒茄子に出会った
ヨーロッパの人々は、その吸い込まれそうな
深い黒紫の輝きを見て、
" これは食べると恋の病にかかってしまう、
魅惑の果実に違いない "
なんて、ちょっぴりお転婆な噂を囁き合って、
大変な大騒ぎをいたしましたのよ。
黒い実なのに、恋の病だなんて……
当時、ヨーロッパに新しく入ってきたお茄子やトマトは、
その妖艶な姿や、お花が咲いた後にぷっくりと
実る様子から、人々をどこかドキドキさせるものが
ありましたの。
そこから
" これを食べると、胸が苦しくなったり、
理性を失ってまるで『恋の病』に
かかったようになってしまう、
怪しい果実に違いないわ! "
という、ちょっぴり大げさでロマンチックな噂が
広がったと言われていますのよ。
今でいう「惚れ薬」のような、少し危険で
ミステリアスなイメージを持たれていたのですわね。
白茄子の「卵のような愛らしさ」とは対照的に、
黒茄子のあの深く吸い込まれそうな
黒紫色(茄子紺)は、当時の人々にとって
「大人の秘密」のように魅惑的に
映ったのかもしれません。
フランスの家庭料理として世界中で愛されている
「ラタトゥイユ」。
これは南仏ニースの郷土料理(野菜の煮込み)で
ございますが、その主役となるのがまさに
茄子(Aubergine)とトマト、ズッキーニですわ。
茄子は太陽の光が大好きなお野菜。
フランスの中でも北部の涼しい地域よりは、
地中海に面した南仏プロヴァンスや、
お隣のイタリア、スペインといった
温かで光に満ちた風景がポタジェそのもの。
ですから、ヨーロッパの人々にとって
茄子の菜園といえば、どこか乾いた風が吹き、
ハーブの香りが立ち込める南フランスの
素朴な田舎の景色を強く想い出させますのよ。
茄子に魅了されたのであれば、茄子のアイテムをあなたに。
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