悲しみを乗り越えた先にある、変わらぬ愛の象徴ヒヤシンス。
ヒヤシンスの故郷と、切なくも美しいギリシャ神話がございますの。
ヒヤシンスの原産地である故郷は、ギリシャやトルコ、地中海東部沿岸。
この名は、ギリシャ神話に登場する、太陽の神アポロンに愛された
ヒュアキントスという大変美しい少年の名前に由来していますのよ。
・風の嫉妬が生んだ、紫の奇跡
・風の嫉妬が生んだ、紫の奇跡
ある日、アポロンとヒュアキントスが
仲良く円盤投げをして遊んでいました。
その睦まじい様子を見ていた
西風の神ゼピュロスが、激しい嫉妬のあまり
ビューッと意地悪な風を吹かせたのです。
風に煽られた円盤は、不運にもヒュアキントスの額に当たってしまい、
少年は命を落としてしまいました。
・哀しみの血から咲いた聖なる花
・哀しみの血から咲いた聖なる花
アポロンが深く嘆き悲しみ、少年の流した血にそっと触れると、
そこからまるで宝飾品のように可憐で、素晴らしい香りを放つ
紫色の美しい花が咲き誇りました。
これが「ヒヤシンス」の始まり。 ヨーロッパでは、この神話から
「哀しみを越えた先にある、変わらぬ愛の象徴」として、
特別な気品を持つ花として愛されているのですのよ。
なぜ「血」から「紫(ブルー)」の花が咲いたのかしら?
古代の「血」は、どす黒い「紫」に見えていたから 新鮮な血は赤色ですが、地面に流れ落ちて時間が経った血や、激しい内出血のあざは、だんだんと「黒っぽく、青紫がかった色」に変わっていきますわよね。 古代ギリシャ人にとって、深い哀しみを表す「血の色」は、鮮やかな赤ではなく、この沈んだドス黒い青紫色(ダークパープル)のイメージだったのです。
ギリシャ語の「赤紫(ポルピュラ)」の魔法 古代ギリシャには、
最高級の高貴な染料として「ポルピュラ(貝紫)」という赤紫色がありました。
神の流す特別な血や、最も尊い命の血を表現するとき、彼らはただの赤ではなく、最高に高貴で神秘的な「深みのある赤紫(現代でいうバイオレットやブルー)」のお花を連想したのです。
アポロンの「深い絶望」の表現 もしここで真っ赤な花が咲いたら、少し生々しく、怒りや情熱が勝ってしまいますわよね。 しかし、静かで、冷たく、深い哀しみを表す「青紫(ブルー)」だからこそ、太陽の神アポロンが「取り返しのつかないことをしてしまった……」と深く絶望し、凍りついた心が見事に表現されているのです。
アポロンの「深い絶望」の表現 もしここで真っ赤な花が咲いたら、少し生々しく、怒りや情熱が勝ってしまいますわよね。 しかし、静かで、冷たく、深い哀しみを表す「青紫(ブルー)」だからこそ、太陽の神アポロンが「取り返しのつかないことをしてしまった……」と深く絶望し、凍りついた心が見事に表現されているのです。
流れたのは赤い血なのに、なぜお花は「紫(ブルー)」なの?
神話の中で、流れたはずの血からどうして鮮やかなブルーや紫の花が咲いたのか、不思議に思いませんか?
古代ギリシャにおいて、地面に流れ落ちて時間が経ち、深く沈んだ血の色は「青みがかった紫」のイメージでした。また、神に捧げる最高に高貴な色もまた「赤紫(バイオレット)」だったのです。
さらに、真っ赤ではなく「静かな青紫」だからこそ、
太陽の神アポロンの、凍りつくような深い絶望と哀しみが
表現されているのですね。
現代では、オランダの伝統的な陶磁器の青にちなんで名付けられた
『デルフトブルー』という高貴なヒヤシンスも愛されています。
歴史の事実ではないのに、なぜ神話は語り継がれるのかですって?
「アポロンの悲しみの血からヒヤシンスが生まれた」というお話は、
歴史的な実話(客観的な事実)ではございません。
けれど、神話というのはただの「嘘の作り話」ではなく、
人間にとって大切な「3つのひみつ」が隠されているのですのよ。
・自然を説明する「科学」だったから
「なぜ毎年春になると、こんなに美しい花が咲くのだろう」という
大自然の仕組みを、当時は植物学がなかったため、
神様の物語に例えて納得しようといたしました。
・ 人間のリアルな「心理」が映っているから
物語の中の神々が激しく嫉妬したり悲しんだりする姿には、
人間が誰しも持っている本音や割り切れない感情がそのまま描かれています。
・ 時を越える「心の真実」だから
歴史の事実はいつか忘れ去られてしまうこともありますが、
神話に込められた「命の尊さ」や「愛の切なさ」というメッセージは、
何千年の時を越えて世界中の人の心に響き続けます。
実話ではないからこそ、時代を越えて誰もがときめく、
色褪せないアートとして愛され続けるのですね。
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